メッセージ
令和5年度 全校集会(11月)学校長訓話
活躍している人
本年度の後半も1ヶ月以上が過ぎましたが、本年度の折り返しとして良いスタートを切ることができていますか。充実した日々を送ることができている人もいれば、ただ漠然と日々を過ごしている人もいると思います。高校時代は人生の中でも大切な時期になります。是非、今日からの時間を大切に過ごしてください。
さて、スポーツの分野では、サッカー、野球、バスケットボール、ラグビーなど、様々な競技でワールドカップや世界大会が行われています。出場選手が躍動する場面では、勇気や元気をもらいました。来年には夏季オリンピックも開催されます。また、スポーツだけでなく、文化の分野においても多くの人が活躍しています。
「活躍している人」というのは、天賦の才能もあるかもしれませんが、例外なく才能以上に「努力している人」だと思います。それでは、努力している人とはどんな人だと思いますか。それは、「何かに挑戦している人」だと思います。挑戦するためには、目標を立てることが必要になります。しかし、「自分の目標が何か」「自分の将来の進路は何か」を決めかねている人もいると思います。
そういった人は、まず、自分の興味や関心は何かを改めて考えてみてください。興味や関心があるものが挑戦できるものになります。そして、自分の長所は何かを考え、自分の長所を伸ばすことに挑戦してみてください。
しかし、自分の関心や興味、自分の長所が分からないという人もいます。そういった人は、自分の「現在、過去、未来」を考える習慣をつけてください。または、小学校や中学校の頃の自分を振り返ってみてください。そうすれば、自分の関心や興味、自分の長所が見えてくるのではないかと思います。
人間の能力は、決められた価値基準では計ることができないものであって、一人一人に潜在的な能力が潜んでいます。特に、高校生は、誰でも潜在的な能力を秘めています。高校時代には、この潜在的な能力を発見し、開花させる必要があります。
そのためには、学習や部活動の未知の領域に踏み込んで挑戦してみてください。しかし、それには新しいことに挑戦する「ほんの少しの勇気」と「たゆまぬ努力への決意」が必要になります。高校時代は、決して長い期間ではありません。ただ漠然と過ごす毎日では、高校生活が一瞬で終わることになります。
最初にも話しましたが、本年度の折り返しから1ヶ月以上が過ぎました。改めてこれまでの自分を振り返ってください。皆さんが、目標を持って何事にも挑戦し、充実した高校時代となることを期待しています。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 2学期始業式 学校長訓話
時を守り、場を清め、礼を正す
2学期が始まりました。1学期の成果や反省を基に、これからどのような学校生活を送ろうとしていますか。以前にも話をしましたが、学校は社会に出るための準備の場になります。皆さんも社会に出てからは、社会の一員として働くようになります。それでは、社会に出て働く上で大切なことは何だと思いますか。
それぞれの職業で必要となる知識や技術はもちろんですが、企業も学校と同じように組織で動いています。社員が自分勝手に行動しているのではなく、規律ある行動をとっています。そして、お互いにコミュニケーションをとりながら分担して取り組んでいます。つまり、人間関係(信頼関係)が大切ということです。
今日は、新学期の始まりにあたって、「時を守り、場を清め、礼を正す」という言葉について話をします。この言葉は、教育学者の森信三先生が職場再建の3原則として提唱したものです。学校も職場と同じように多くの人が生活をしています。皆さんには、将来に向けて重要となる3つの行動を身につけて欲しいと思います。
「時を守り」とは、時間や期限を守るということです。期間を守ることは、相手の時間を大切にすることで、結果として相手を尊重することにつながり、そして、それにより自分の信用を積み重ねることにもつながります。予定の開始5分前に姿勢を正し、心を静め、開始を待つことができていますか。普段の行動を考えてみてください。朝の登校、チャイム着席、提出物の期限を守る・・・・等、時間ギリギリに行動することのないようにしてください。
「場を清め」とは、掃除や整理・整頓をすることです。その意味は「5K」で表されます。気づく人になれる、心を磨く、謙虚になれる、感動の心を育む、感謝の心が芽生える、ということです。足元のゴミに気づいて拾うことができていますか。拾えばきれいになるだけでなく、感動や感謝が生まれます。学校での自分の身の回りを見てください。掃除、ロッカーや机の中の整理・整頓を心掛けてください。
「礼を正す」とは、挨拶をすること、返事をすることです。挨拶をすることにより、相手に心を開くことができます。人より先に、誰に会っても、挨拶をすることです。そして,呼ばれたら「ハイ」と返事をすることです。人とのコミュニケーションは、挨拶や返事から始まります。気持ちの良い挨拶や返事をすれば人間関係がよくなります。挨拶や返事は、人間関係をつくる上で基本になると思います。
例えば、「時間ギリギリで余裕がない」「机の上が片づいていない」「呼ばれても返事をしない」などの行動は、相手に不信感を与えてしまうでしょう。自分の将来のために、すべての人が気持ちよく学校生活を送るために、今日から「時を守り、場を清め、礼を正す」を実践していきましょう。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 1学期終業式 学校長訓話
読書の効果
本校では、平成11年に県内の高校で初めて「朝の10分間読書」を取り入れて、これまで継続し、現在に至っています。また、「図書館だより」の発行やお薦め本を紹介する「ミニ・ビブリオバトル」などを実施しています。本校の特色の一つとして、読書活動の推進に取り組んでいます。
それでは、そもそも本を読むことの意義とは何でしょうか。私たちは無意識のうちに言葉を駆使して物事を考えています。ボキャブラリー(語彙)が豊かになれば、それだけ深い思考が可能になります。今日は、明日からの夏休みを有意義な期間としてもらうために読書の効果についての話をします。
英作文も百の単語と千の単語とでは表現できる範囲や深さが自ずと変わってきます。十の食材と百の食材とでは、作ることができる料理のレパートリーが違うことと同じ原理です。ボキャブラリーが増えるごとに相手の言葉を正しく理解し、自分の考えを正確に伝えることができるようになります。
自分ではなんとなく分かっていても、うまく言葉で言い表せなかったことが、本を読んでいると「自分が言いたかったことはこれだ!」と思う瞬間があります。この時が、優れた著者の言葉によって、自分の考えがはっきりと言語化された瞬間だと思います。読書によって、知識や教養が身につくとともに、想像力も養われます。
小さい子どもが癇癪を起こして泣き叫ぶのは、自分の伝えたいことがうまく言葉で表せないもどかしさからだと言われています。一方で、大人になると癇癪を起こすことが少なくなるのは、自分が伝えたいことを言葉できちんと表現できるようになるからだと言われています。
コミュニケーションには、ボキャブラリーというツール(道具)が必要です。読書はボキャブラリーを豊かにします。ボキャブラリーが豊かになればコミュニケーション能力は向上します。つまり、ボキャブラリーを豊かにする読書は、コミュニケーション能力の向上に効果があるということになります。
勉強をすることの基本は何でしょうか。それは、とにかく自分の中に受け入れることです。理解できなくても耳を傾ける習慣が勉強には求められます。自分に理解できないことを価値がないと切り捨てるのではなく、理解しようと努力すること自体が学びを深めることにつながっていきます。読書も同じです。まずは、書物を手に取ってみましょう。
集中して読書をする習慣は、皆さんの学びを一段と深めてくれると思います。また、生活する中で人との出会いがあるように、読書では言葉との出会いがあります。その言葉が生涯自分を支え、照らしてくれることもあります。それは、皆さんにとっての名言になると思います。
明日から夏休みが始まります。普段よりも書物に親しむ時間がとれるかもしれません。その豊かな時間の中で、皆さん一人一人にとっての名言に出会えることを願っています。そして、有意義な夏休みとなることを期待しています。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 全校集会(6月)学校長訓話
失敗の価値
自分が目標としていることにチャレンジした時、成功することもあれば失敗することもあります。どちらかというと、成功することよりも失敗することが多いかもしれません。そこで大切になるのが、失敗した時にどう考えるかです。
「七転び八起き」ということわざがあります。このことわざは、何度失敗してもあきらめずに立ち上がって努力すること、失敗や敗北にくじけず何度もチャレンジを繰り返すことを示しています。
私たちは、すべてのことが分かっているわけではありません。日々、新しい発見や出来事もあります。そして、年齢を重ねるごとに、活動範囲が広がるごとに知らないことや経験したことがないことに出会うことが多くなります。初めてのことなので、失敗することが多いと思います。失敗することで悲観もすると思います。
そういう時、このことわざを思い浮かべると思います。「今回は失敗してしまったが、次回頑張れば成功できるかもしれない」と考えることができます。再度チャレンジしようと頑張る意欲につながります。「七転び八起き」ということわざには、物事を前向きに考えるようにさせる効果があると思います。
しかし、「なぜ失敗したのか」「どうしたら成功するのか」を深く考えることもなく、「7回失敗しても8回目には成功する」などと何の根拠もなく考えるのであれば、これは少し愚かなことです。失敗から学ぶことがなければ、再度チャレンジしても成功にはつながらないと思います。
つまり、1回失敗して気づかなければ、7回失敗しても何も変わりません。同じ失敗を繰り返すだけです。失敗を成功につなげることができる人というのは、どのような人でしょう。それは、「成功には失敗してしまった原因と失敗しないための方策を考えることが必要である」と気づいた人だと思います。
気がつくためには、「転んでもただでは起きぬ」という気持ちが大切になります。このことわざは、どんな事態になっても自分の利益になるものを見つけ出すという、欲深いたとえとして使われていますが、昔の偉大な人物の中でも、失敗からの学びを成功に生かした人は多くいます。失敗なくして成功はありません。
そういった人たちは、常に「なぜ失敗したのか」「どうしたら成功するのか」を深く考えていたと思います。転んでもただでは起きなかったということです。発明王と言われるトーマス・エジソンの言葉に「私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまく行かない方法を見つけただけだ。」というのがあります。
失敗を「単なる失敗」と考えずに、「失敗の価値」に気づくことこそが新たな一歩になります。失敗を無駄にしない気持ちが可能性を広げます。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 全校集会(5月)
聞く姿勢
生徒の皆さんは、毎日授業を受けています。そして、授業の中では、先生方が教科に関することや進路に関することなどを話してくれています。また、学年集会や学校行事なども多くあります。そして、その時にも、先生方は生徒の皆さんに伝えたいことや大切なことを話してくれています。
これまで、先生方の話を聞く皆さんの姿勢はどうだったでしょうか。人の話を聞く時の基本は、話をしている人の方に体を向けて相手の顔を見ることから始まります。哲学者のマルティン・ブーバーは、名著と言われる「我と汝」の中で、人間関係の基本は対面の関係であると言っています。
一対一で向き合って話をする関係が人間関係の基本だと聞いても、そんなことは当たり前だと思う人も多いかもしれません。しかし、実際には大勢の中で人の話を聞く時に、本来は一対一の関係であることを忘れ、一対「多」となってしまい「多」の中では目立たないだろうと、話をしている人と向き合っていないこともあります。
私は教師として、生徒に対して人の話を聞く時の態度や姿勢を教えたり注意をしたりしてきました。また、聞く態度や姿勢を人に教える立場にある自分自身も、常々から話をしている人と向き合うことを心掛けてきました。今も生徒の皆さんが、姿勢を正して私の方にしっかり体を向けて聞いている姿は美しいと思います。
「躾」という字は、身が美しいと書きます。私たちは、挨拶の仕方やお辞儀の仕方などを幼い頃から教えてもらってきました。それは、きちんとその所作を身につけることで、美しい姿になることを昔の人は長年の経験から分かっていたのでしょう。だからこそ「しつけ」という言葉が「躾」という字になったのだと思います。
教育学者の森信三先生は、挨拶や返事をすること、脱いだ靴をそろえること、自分が座った椅子を元に戻すこと、目の前の紙くずを拾うことを生涯に渡って実践されました。そのようなことに気を配ることができるようになれば、すべてのことに気を配ることができるようになれると思います。
人の話を聞く姿勢もそうだと思います。話をしている人に体を向けて聞くことは礼儀の根本のようにも思います。人の話を聞く時に、話をしている人に体を向けてきちんとした姿勢で聞くことは、小さなことに見えますが、その小さなことに人の本質は現れます。そして、その小さなことがすべてのことに通じるのです。
これからも、授業や学校行事では先生方から話を聞くことが多くあります。また、生徒の皆さんが発表する機会もあります。今日から「聞く姿勢」を意識して、話をしている人に向き合うようにしてください。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 1学期始業式
志(こころざし)
新年度が始まりました。今日は、新年度スタートの特別な日です。昨年度の成果や反省を基に、皆さんはこれからどのような学校生活を送ろうと考えていますか。3年生は進路の決定に向けて全力で取り組んでもらいたいと思います。また、2年生は学校の中核となる学年としての活躍を期待しています。
新年度を迎えて、皆さんには「志」を持ってほしいと思います。では、「志」とは何か。辞書によると「ある方向を目指す気持ち、心に思い決めた目的や目標」とあります。従って、「目的や目標を決めよう」ということにもなります。学習、進路、部活動など、学校生活を送っている今だからこそ、「志」を持ってください。
皆さんは、「Boys, be ambitious! (少年よ、大志を抱け!)」という言葉を聞いたことがありますか。北海道の札幌農学校(現在の北海道大学)に初代教頭として招かれたウィリアム・スミス・クラーク博士の言葉です。多くの学生たちに勇気と希望を与えました。現在もこの言葉は受け継がれています。
それでは、「志」を持つためには何が必要でしょうか。それにはまず、これまでで良かったことや反省点を自覚する必要があります。さらに、「過去の自分を見つめ直し、今やるべきことを決め、未来の自分につなげる」というサイクルを作ることが大切になります。
20世紀を代表する物理学者であるアルバート・アインシュタインの言葉に「Learn from yesterday, live for today, hope for tomorrow.(昨日から学び、今日に生き、明日に希望を持て)」という言葉があります。過去に失敗があったとしても、それを教訓に今後の生き方を決めて、胸を張り、希望を持って未来に向かいましょう。
しかし、待っているだけでは「志」を実現することはできません。「志」を実現するためには、努力を続けることが必要です。第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンの演説の中の言葉に「Where there is a will, there is a way.(意志あるところに道は開ける)」という言葉があります。
「道が開けた人とは、何かを成し遂げた人」であり、例外なく「強い意志をもち、努力を継続した人」だと思います。「継続は力なり」「努力なくして成功なし」という言葉にも通じることと思います。
皆さんには、成し遂げたいことを「志」として持ち、なりたい自分を毎日強く思い、そして必要な行動を続ける1年間にしてもらいたいと思います。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和4年度 3学期終業式
伝えたかったこと
明日からの春休みは,年度末として4月からの1年間を振り返るとともに,新年度に向けての決意を固める節目としても大切な期間になります。皆さんにとって貴重な春休みですので,有意義に過ごしてください。
これまで,始業式や終業式,全校集会でいろいろと話をしてきましたが,本年度最後となるこの機会に,これまでの話を改めて振り返りながら,皆さんに伝えたかったことについてまとめたいと思います。
1学期の始業式…「板野高校の校是と校訓」: 自分を高めるには,何事にも誠実に向き合い,努力を続け,前進しようとする姿勢が大切である。
5月の全校集会…「ワンイヤー,ワンインチ」: 組織ではルールを守る必要があり,板野高校の生徒としての自覚や責任ある行動が求められる。
6月の全校集会…「学ぶことの意義と続けることの大切さ」: 学びは視野を広げることにつながり,継続は能力を伸ばすことにつながっていく。
1学期の終業式…「心をマネジメントすること」: 現状と目標のギャップを埋める行動を選択することが,未来の自分を変えることにつながる。
2学期の始業式…「社会に出て成功する7つの条件」: 7つの条件は社会で必要となる心掛けであり,学校は社会に出るための準備の場である。
11月の全校集会…「社会人基礎力」: 職場や地域社会で多様な人々と関わり合いながら,活躍し続けるために必要となる能力が求められている。
2学期の終業式…「取り組む姿勢や心掛け」: 努力の本当の意味を知れば,物事に取り組む姿勢が変わり,その後の行動や状況も大きく変わる。
3学期の始業式…「努力しても損はしない」: 努力をすれば,結果が出なくても成功につながる経験が残るので,無駄になる努力は存在しない。
2月の全校集会…「自律と自立」: 経済的・社会的に独り立ち(自立)をするためには,自分自身をコントロール(自律)できることが必要である。
皆さんは,高校または大学などを卒業した後,職場や地域社会で何らかの役割を担うことになります。そこで問われるのが,「社会で必要な資質や能力を身につけているか」「その資質や能力を伸ばすための努力をしてきたか」になります。
学校は,社会に出るための準備の場として,皆さんに夢や目標に向けて努力を続けることを求めています。また,板野高校の一員として協力して取り組むことも求めています。しかし,それが実践につながるかどうかは皆さんの気持ち次第です。
新年度からのより一層の活躍を期待しています。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和4年度 全校集会(2月)
自律と自立
先週は,生徒の皆さんにとって高校3年間の中でも思い出に残る学校行事がありました。1年生はインターンシップ,2年生は修学旅行を実施しました。インターンシップや修学旅行で多くのことを体験して学んだと思いますが,学んだことをこれからの学校生活に生かすようにしてください。
また,本年度も残りわずかになりましたが,本年度を振り返ってみてどうですか。充実した日々を送ることができた人もいれば,ただ漠然と日々を過ごしてきたという人もいると思います。高校時代は人生の中でも大切な時期ですので,今日から新年度になるまでの時間を大切に過ごしてください。
さて,学校は社会に出るための準備の場になります。そのため,学校は教科の内容だけでなく,「時間や期限を守る」「清掃や整理・整頓をする」「挨拶や返事をする」などの基本的な生活習慣についても学ぶ場になります。なぜなら,基本的な生活習慣は,良好な人間関係をつくる上でも大切なことだからです。
そこで,今後,学校生活を送るにあたって,皆さんに意識してもらいたいことがあります。それは,「じりつ」という言葉です。「「じりつ」という言葉には,「自分を律する」と書く「自律」と「自分で立つ」と書く「自立」とがあります。読み方は同じですが,意味は異なります。
「自分を律する」と書く「自律」は,他からの影響や制約を受けないで,自分で自分の行動を規制することを言います。「自律した生活を送る」とか「自律の精神を養う」というように使います。
また,「自分で立つ」と書く「自立」は,他からの援助や管理を受けないで,自分の力だけで物事を行うことを言います。「経済的に自立する」とか「親元から自立する」というように使います。
簡単にまとめると,「自分を律する」と書く「自律」というのは,「自分自身をコントロールする」ことを言い,「自分で立つ」と書く「自立」というのは,「経済的・社会的に独り立ちする」ことを言います。
どちらの「じりつ」も社会人として必要なことだと思います。そして,自分自身をコントロールできないと,経済的・社会的に独り立ちするのも難しいと思います。学校というのは,この2つの「じりつ」を身につける場なのです。
学校が社会に出るための準備の場であることを忘れずに,基本的な生活習慣の大切さを常に意識してください。そして,「自律」した生活を送ることで,「自立」できるようにしてください。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和4年度 3学期始業式
努力しても損はしない
今日から3学期が始まりました。2学期の終業式で「3学期は1年間の総決算,3年生にとっては高校生活の総決算」という話をしましたが,3学期は総決算であるとともに,新年度に向けての準備期間にもなります。年度の節目となる時期ですので,一日一日を大切に過ごしてください。
さて,皆さんは,これまで入学試験や定期考査など,様々な試験を受けてきたと思います。また,部活動においても大会やコンクールなど,様々な試合に出てきたと思います。これまでも試験や試合などで結果を出すために努力をしてきたと思いますが,改めて努力することの大切さについて考えてみましょう。
〇努力して結果が出ると,自信になる。
努力して結果が出ると,それまでの取組が成功体験となり,自分の能力や行動を信じることにつながります。努力するモチベーションにもなります。
〇努力せず結果が出ると,傲り(おごり)になる。
努力しなかったのに偶然にも結果が出ると,自分は優れていると勘違いして油断することにつながります。課題を軽く見るので努力しなくなります。
〇努力せず結果も出ないと,後悔が残る。
努力していないので結果が出ないことは,よくあることです。努力しなければ結果は出ません。努力しておけばよかったと後で悔やむことになります。
〇努力して結果が出ないとしても,経験が残る。
努力した結果が出なかったとしても,次のチャレンジにつながる経験が残ります。失敗した経験が,成功に到達するための重要なヒントになります。
努力すれば結果が出ることが多くなり,出た結果が次の努力につながります。努力と成功がつながっていく好循環になります。努力しないで運よく結果が出ても,傲り(おごり)になり,努力しなくなるのでやがて結果も出なくなります。怠惰と失敗がつながっていく悪循環になります。
結果を出すためには,努力が必要です。しかし,仮に結果が出なくても,努力すれば一生懸命に取り組んだ経験が残ります。そして,経験から知恵や新たな発想が生まれて,次のチャレンジで成功する可能性が高まります。
皆さんは,これからも試験や試合などを数多く経験することになります。また,社会に出て働き始めても,自分の力が試される機会に多く出会うと思います。その時,立ち向かって努力をするか,避けて努力をしないかの選択をすることになりますが,皆さんはどちらを選択しますか。
努力しても結果が自分の思いどおりにならないこともあります。しかし,経験は残るので,「努力しても損はしない」と思います。努力する3学期としてください。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和4年度 2学期終業式
取り組む姿勢や心掛け
1年間の学校生活において,最も長い2学期も今日で終えようとしています。今年も残りわずかです。これまで自分が取り組んできたことを振り返ってください。教科等の学習,学校行事,部活動など,精一杯取り組んできましたか。
学校生活に限らず,日々の生活の中でも,物事に取り組む姿勢や心掛けによって,その後の状況が大きく変わってしまうことがあります。このことに関して,「一生懸命だと知恵が出る。中途半端だと愚痴が出る。いい加減だと言い訳が出る。」という言葉があります。
一生懸命な取組を心掛けると,物事を多面的に見たり,先を見通して行動したりするようになります。その結果,視野が広がり,知恵や新たな発想が生まれて,成功する可能性が高まります。また,成功することで,主体性や自己肯定感の向上にもつながります。
一方で,中途半端な取組では上手くいかないことが多くなります。こういう時は得てして,愚痴や不満が出るようになります。その結果,物事がなかなか進まなくなります。また,主体性が失われ,他人の行動や考えに依存したり,誰かの指示を待つようになります。
さらに,いい加減な取組となると,失敗につながるのは当然ですが,そのいい加減さが故に,その失敗にさえも向き合わなくなってしまいます。つまり,言い訳をすることで,失敗の原因を他人に転嫁したり,問題そのものから逃避したりするようになります。
また,「努力する人は夢を語り,怠ける人は不満を語る。」という言葉もあります。これからの学習や部活動にどう向き合っていくか,そして,夢を語るようになるか不満を語るようになるかは,皆さんの決断と努力次第です。自分自身の将来を見据えて「これからどう生きるか」を考えてください。
努力することの本当の意味は,努力することを通して自分をしっかりと見つめ,自分の持っている能力をたくさん見つけ,見つけた能力を最大限発揮させられるかにあると思います。
3学期は1年間の総決算になります。そのためにも,この冬休みでこれまでの自分を振り返り,さらに伸ばすことや改善することを見つけて,次の飛躍につなげてください。特に,3年生にとっては3学期は高校生活の総決算にもなります。ぜひ気持ちも新たに新年を迎えてください。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄