メッセージ

令和6年度入学式 式辞

 春風が薄紅色の桜をまとい、
校庭の、木々の緑に 生命の息吹を感じる今日の佳き日に、
吉岡PTA会長様、玉井同窓会会長様をはじめ
保護者の皆様方のご臨席を賜り、
令和六年度 徳島県立板野高等学校入学式を挙行できますことは、
学校として、この上ない喜びであり、心から感謝申し上げます。

 ただ今、入学を許可いたしました百三十五名の新入生の皆さん、
そして保護者の皆様、ご入学おめでとうございます。
皆さんの入学を教職員とともに、心から歓迎いたします。

 本校は、明治三十九年に蚕業学校として開校し、
今年で創立百十八年を迎える伝統ある学校であります。
 昭和五十七年には普通科単独校となり、
平成十六年には単位制の学校として新たなスタートを切りました。
これまでに、二万三千人を超える人材を輩出して参りました。

 板野高校には、「誠実」「努力」「前進」という校訓があります。
諸先輩方が、様々な課題に対して「誠実」に向き合い、
目標を達成するために「努力」を重ね、
一歩一歩着実に「前進」してきた結果、
良き伝統を形成し、今日に至っております。
また、校訓のほかに、学校創立以来、引き継がれてきた建学の精神である
「耕不尽 耕せどもつきず」という校是があります。
これは、能力や才能、豊かな心は、いくら耕しても尽きることがなく、
無限の可能性を持っていることを意味しています。

 さて、新入生の皆さんは、大きな可能性に目を輝かせ、
本日から、この伝統ある板野高校での生活をスタートします。
これからの本校での高校生活は、
皆さんにとって人生で最も大切な時期であり、
社会で通用する大人になるための人間力を高める場所となります。

 ヒンドゥー教の教えに
心が変われば 態度が変わる。
態度が変われば 行動が変わる。
行動が変われば 習慣が変わる。
習慣が変われば 人格が変わる。
人格が変われば 運命が変わる。
運命が変われば 人生が変わる。
という言葉があります。
感情や気分が変われば、態度や行動が変わり、
いずれは人生までも変えてしまうと言っています。
 今日から皆さんは板野高校の生徒です。
将来こうしたい、こうなりたいという夢を
叶えるため、心を変え、気持ちも新たに 
今のやる気と情熱を持ち続け、
三年間歩み続けてください。

 「板野高校に入学して良かった。」と感じ、
三年後には、「卒業して良かった。」と言える学校を、
生徒の皆さんと先生方と一緒に作っていきたいと思っています。
どうか、自分自身で、
一歩一歩確実に努力を続ける高校生活にしてください。 

 本校には熱心な先生方、素直で優しい先輩や友達がいます。
もし、何かに悩んだり苦しんだりした時は、
是非とも誰かに相談してください。

 結びになりますが、今日まで支え、
応援し続けられた保護者の皆様方にも 
喜ばしい日であろうと存じます。
高校時代は、多感で悩みも大きいからこそ、
仲間とともに支え合い、深く考え、 
学んでいく 尊い時間になります。
 大きな成果を願い、学校と保護者が同じ方向を向き、
地域の協力を得ながら生徒たちを支えていく必要があります。
 本校の教職員は、ここにいる新入生が、三年後、
たくましく 巣立っていく姿を励みに、尽力いたします。
どうか、保護者の皆様方におかれましても
本校の教育活動や教育理念に
温かいご支援とご協力をいただきますよう
心よりお願いいたしまして、式辞といたします。

  令和六年四月八日
    徳島県立板野高等学校長  野田 耕市郎

令和6年度 第1学期 始業式 訓話 「心がけてほしい5つお願い」

  おはようございます。校長の野田耕市郎といいます。漢字をよく間違われるので
詳しく言いますと、野原の野。田んぼの田。耕は耕運機の耕。耕すという字です。
市は市場の市。郎は昔から男の子に使われる太郎とか次郎とかの郎で「おおざとつ
くり」の郎です。続けると「野原を田んぼに耕して、そこで採れたお米なんかを市
場に持って行く男」と覚えてもらうと間違わないかな、と思います。
 実は、板野高校は私の初任の学校であり、大好きな学校です。28年前、初任3
年目の冬に、もう一年残してほしいと当時の校長先生にお願いに行ったことが昨日
のように思い出されます。もしかすると皆さんのお父さんやお母さんの中に私を知
っている人がいるかも知れません。
 さて、年度当初の挨拶ということで、みなさんに心がけてほしい5つのお願いが
あります。覚えやすいように頭文字を「かきくけこ」に合わせてきたので日々の生
活の中で是非意識して生活してください。
 「か」は、考えること。
 勉強もそうですが、考えることは非常に大事なことです。夕方のTV番組で「突
破ファイル」という番組の中で、窮地に追い込まれた主人公が自分自身に「考えろ、
考えろ、考えろ」と言い聞かせるシーンがよく出てきます。苦しいときこそ考える。
これをしていいのかを考えてから動く。効率よく物事を行うためにどうすればいい
かを考える。全て大事なことです。
 「き」は、気をつけること。気を配ること。
 気をつけるは、交通事故に遭わないよう、事故や犯罪に巻き込まれないよう気を
つけるです。気を配るは、周りに元気のない人はいないか。困っている人はいない
か。いるならどう声をかけるか。思いやりを持って行動してくださいということで
す。
 「く」は、くさらないこと。
 人生うまくいかないことはあります。失敗もあります。そこでくさっていては誰
も見向きもしてくれません。「笑う門には福きたる」という言葉がいうように気分
を換え、ポジティブに考え、前向きに次の行動をしましょう。
 「け」は、健康であること。健康的で元気な挨拶をすること。
 先ほども挨拶をしましたが、これは皆さん全員がすることに意義があります。お
越しになったお客さんに、すれ違う生徒全員が挨拶をすれば、驚くでしょうし、面
白いと思いませんか。こうなれば、学校自体が変わります。
 「こ」は、コンプライアンス。
 法令を守るという意味ですが、校則などのきまりやルール・マナーを守ろうとい
うことです。時間を守ること・約束を守ることや人を傷つけないことも広い意味で
コンプライアンスかもしれません。
 この「かきくけこ」は、社会に出ても使えるので心のどこかに留め置いててくだ
さい。
 残された高校生活。夢ややりたいことを「志」というなら、その「志」を掲げ、
「誠実・努力・前進」の校訓のもと、「誠実」に取り組み、「努力」を続け、コツ
コツと「前進」していってください。そうやって歩んでいる皆さんを先生方は応援
してくれます。頑張っていきましょう。

令和5年度 3学期終業式 学校長訓話

                     伝えたかったこと

 学年末として4月からの1年を振り返る節目となりました。1学期、2学期、そしてこの学年末までを終えましたが、学期ごとに、頑張ったこと、成長したこと、課題となったことなどを把握し、課題については改善してきましたか。

これまで、始業式や終業式、全校集会でいろいろな話をしてきましたが、この機会に改めて振り返りながら、皆さんに伝えたかったことについてまとめます。

 1学期の始業式…「志(こころざし)」:成し遂げたいことを「志」として持ち、なりたい自分を毎日強く思い、そして必要な行動を続ける。

 5月の全校集会…「聞く姿勢」:話している人に体を向けてきちんとした姿勢で聞くことは、礼儀の根本であり、そこに人の本質が現れる。

 6月の全校集会…「失敗の価値」:失敗を単なる失敗と考えずに、失敗の価値に気づき、失敗を無駄にしないことこそが新たな一歩になる。

 1学期の終業式…「読書の効果」:ボキャブラリー(語彙)を豊かにする読書は、コミュニケーション能力の向上とより深い学びにつながる。

 2学期の始業式…「時を守り、場を清め、礼を正す」:職場や学校において人間関係や信頼関係を築くには、重要となる3つの行動がある。

 11月の全校集会…「活躍している人」:活躍するには挑戦が必要であり、挑戦にはほんの少しの勇気とたゆまぬ努力への決意が必要である。

 2学期の終業式…「目標の実現」:なりたい自分とできる自分の重なりを広げる努力の積み重ねが、実現の可能性を高めることにつながる。

 3学期の始業式…「大人の条件」:大人になることは、当たり前のことが当たり前にできるようになり、内面的にも大人になることである。

 皆さんは、高校または大学などを卒業した後、職場や地域社会で何らかの役割を担うことになります。そこで問われるのが、「社会で必要な資質や能力を身につけているか」「その資質や能力を伸ばすための努力をしてきたか」になります。

 学校は、社会に出るための準備の場として、皆さんに夢や目標に向けて努力を続けることを求めています。また、板野高校の一員として協力して取り組むことも求めています。しかし、それが実践につながるかどうかは皆さんの気持ち次第です。
新年度からのより一層の活躍を期待しています。

徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄

令和5年度 3学期始業式 学校長訓話

                      大人の条件

 1月というのは、新しい年を迎え1年間のスタートとなる時期になる一方で、学校生活の中では3学期というまとめの時期でもあります。新年の初めであると同時に年度のまとめにもなるので、ある意味1年間の中で最も大切な時期になると思います。皆さんには、一日一日を大切に過ごしてもらいたいと思います。

 さて、昨日は成人の日でした。成人の日というのは、「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」趣旨の国民の休日です。そして、皆さんも知っているように、民法が改正されて令和4年4月に成年年齢が満18歳に引き下げられました。3年生の多くの人が18歳になっていると思います。

 そこで、「成人」と「大人」を国語辞典で調べると、「成人」とは「心身が発達して一人前になった人。成年に達した人。子どもが成長して大人になること。」となっており、「大人」とは「成長して一人前になった人。成人の年齢に達した人。思慮分別があり、社会的な責任を負える人。」となっています。

 「成人」と「大人」には「一人前」や「成年年齢」という共通する意味もありますが、「大人」には「思慮分別」や「社会的な責任」という意味もあります。従って、「大人」とは「成年に達する」という外面的なことと「分別や責任」という内面的なことの両方が認められてなれるものと思います。

 オランダの教育学者、マルティヌス・ヤン・ランゲフェルドは「大人」を次のように規定しています。
 ①自分自身の行為や失敗に対して責任ある態度がとれる。
 ②社会生活において仲間として責任を分かち合う態度がとれる。
 ③子どもや病人など弱者のための代理人として責任を負う態度がとれる。

 簡単に言えば、自己責任の態度、社会の一員としての自覚、そして思いやりの態度が必要ということだと思います。だとすれば、内面的なことというのは人として当たり前のことばかりです。裏返せば、「大人」になるということは、当たり前のことが当たり前にできるようになることかもしれません。

 18歳の誕生日を迎えれば大人として扱われる一方で、18歳の誕生日を迎えれば大人になれるという単純なものではないと思います。普段から誰かのために何ができるかを考えることも必要だと思います。皆さんが成年に達した時、大人としての態度をとることができることを期待しています。

徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄

令和5年度 2学期終業式 学校長訓話

                      目標の実現

 1年間の学校生活において、最も長い2学期も今日で終えようとしています。今年も残りわずかです。これまで自分が取り組んできたことを振り返ってください。教科等の学習、学校行事、部活動など、目標としていたことが実現できましたか。

 目標を実現できる可能性について、改めて考えてみます。自分の目標というのは「なりたい自分」であり、それに対して、現在の自分というのは「できる自分」であると言えます。そして、「なりたい自分」と「できる自分」の重なる部分(共通部分)が実現できる可能性になると思います。

 まず、大切なことは「なりたい自分」をしっかりと定めることです。理想とする自分をはっきりと描くことです。目標が定まっていないと、目標の実現に向けて努力すべきことが定まらないので目標に近づくことはできません。

 次に、大切なことは「できる自分」を見つめることです。現在の自分にどれだけの力があるのかを知ることです。今の自分にできることが分かっていないと、目標の実現にどれだけの努力が必要となるかも分かりません。

 例えば、進路について考えてみましょう。「なりたい自分」は進路の目標です。その目標を定めるためには、世の中にどんな仕事があり、それを通してどのような生き方があるのかを知る必要があります。

 また、将来の自分像「ライフデザイン」をイメージし、そのためにどの大学に進学すれば良いか、どの企業に就職すれば良いかなど、情報収集をしなくてはいけません。本校は、大学の先生や企業の方との出会いの場を教育活動に多く取り入れています。その出会いを通して「なりたい自分」の幅を広げていきましょう。

 一方で、目標を実現するためには「なりたい自分」と「できる自分」の重なりを大きくする必要があります。定めた目標に向かって自己を高める努力をしなければ、目標が近づいてくることは絶対にありません。

 日頃の学習を1つ1つ丁寧に重ねていくことで学力を向上させるとともに、部活動や総合的な探究の時間等における他者と協働して行う活動の中で、社会力や人間力を高めていきましょう。そして、様々な活動を通して「できる自分」の枠を広げることで「なりたい自分」との重なりを広げていきましょう。

 もうすぐ新しい年を迎えます。2つの自分の重なりを広げる努力の積み重ねが、進路実現の可能性を高めることにつながります。来年を「目標に向かって歩みを止めない」1年にするために、明日からの冬休みを有意義に過ごしてください。

徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄