メッセージ
11月の訓話 「今秋の出来事」
今日は、みなさんがあまり知らない文化部やボランティア活動の頑張りについて紹介しようと思います。
現在、あわぎんホールを主会場として第43回徳島県高等学校総合文化祭が行われています。
11月3日に音楽部の演奏を聞きに行き、11月9日に写真、美術、書道の展示を見に行きました。
来週23日には本校演劇部の出演に合わせ演劇を見に行こうと思っています。
音楽部の公演では「新宝島」を演奏した時にノリが良い曲だからか、
どこからともなく手拍子が起きたことが嬉しかったです。
なぜなら、私が見てた約10校の演奏や合唱の中では、
板野高校だけ自然に手拍子が起き、だんだんと大きいものになっていったからです。
また展示は、生徒の作品だけでなく先生方の作品も展示され、
それぞれの作品から芸術家のパワーを感じることができ、ゆっくり見てたら1時間では回りきれないものでした。
この秋、板野高校生はボランティアでも頑張ってます。
10月12日金泉寺でのお接待と周辺の清掃活動を、初めて板野中学校の生徒と一緒に実施しました。
10月20日には徳島工業短期大学校の学園祭に音楽部と書道部が参加し、
パフォーマンスを見せ学園祭を盛り上げました。
10月26日は道の駅「いたの」でスタンプラリーやエシカルをテーマとした演劇、
エシカルかるたなどエシカルイベントを行いました。
今後も、通学路清掃や無人駅となった板野駅の清掃活動。
来る、11月17日に行われる「あさんウォーキングフェスタ」などのボランティア活動を行う予定だそうです。
地域のために地元の人と高校生が協働して作業を行うことは近隣住民の方から喜ばれ、認められ、
生徒側としては自己有用感が得られる素晴らしい取組となります。
また、10月に嬉しいことがありました。
10月4日に徳島文理大学から3人の先生が本校にお越しになった際の第一声が
「玄関前で男子生徒数名から大きな声で挨拶をされました。板野高校は良いですね。」とニコニコして言われました。また、10月11日に徳島県教育委員会から4人の先生が訪問してきた時には、
「女子生徒から元気な声で挨拶をしてもらいました。学校現場が懐かしくなりました。」
という感想をいただきました。
挨拶をした生徒は『お客さんだから挨拶をしよう』と条件反射的にしたのかもしれませんが、
挨拶された方は嬉しかったり、良い生徒に会えたと思い出深いものになったりします。
これらのお客さんに、板野高校が良い印象で受け止められたことが何より嬉しく感じられました。
板野高校のHPの左側にあるサイトバナー「学校紹介」の中に
「学校長からのメッセージ」というところがあります。
そこには始業式や全校集会で話した訓話の内容を載せているので、そこを見てもらえれば確認できますが、
5月の全校集会で私は「板野高校には元気に挨拶をする、掃除もよくする、おもしろく元気に話しかけてくる、
素敵な生徒たちがたくさんいます。
常日頃から全員がいつでも試験や面接が受けられる姿で、健康的で元気な挨拶をしてくれれば、
何かが変わると信じています。」と言っています。
みなさんの日々の頑張りが、もっともっと周囲から認められるようになればいいなぁと
感じた出来事を紹介させてもらい11月の訓話にかえさせていただきます。
第二学期 始業式の訓話 「感謝」
あなたは夏休みどのように過ごしましたか。
この夏はパリ・オリンピックを見るため、夜遅くまでテレビを見ていたという人もいるのではないでしょうか。
日本を代表するアスリートは日頃の練習の成果を過度なプレッシャーの中で十分に発揮し、
45個のメダルを持ち帰ってくれました。
また、北部九州ではインターハイが行われたり、
甲子園で高校野球選手権大会が行われたりするなどコロナ禍前の形で
多くの競技があたりまえのように行われていることは、一高校関係者として嬉しいことでした。
高校野球選手権大会は京都国際高校の優勝で幕を下ろしたわけですが、
この大会に公立高校は12校出場していました。
中でもベスト8まで進んだ島根県代表の大社高校の活躍は、同じ公立高校として勇気をもらえるものでした。
3回戦ぐらいから地響きのような声による応援は、数年前の慶応高校を彷彿させるようなものでした。
徳島県とよく似た人口の島根県から出てきた125年の歴史を持つ伝統校である大社高校は、
118年の歴史を持つ板野高校と似てそうだなと勝手に親近感を持ち、
もし、板野高校が甲子園に出場したら、という想像も膨らましながら大社高校を応援していました。
そんな、この夏活躍したアスリートたちのインタビューを聞いていて感じたのは、「感謝」という言葉です。
甲子園の優勝校である京都国際高校の藤本主将は「応援してくれた方々にありがとうと感謝したい」。と述べ、
パリ・オリンピックで卓球女子団体銀メダルの張本美和選手は
「2人の先輩がいたから取れたメダル」。と早田選手、平野選手の存在に感謝し、
スケートボードで銀メダルの赤間凛音選手は「家族はもちろん、
今までサポートしてくださった方々に感謝」。と言っていました。
また、同じ競技で金メダルを取った吉沢恋選手は「追いかけてきた先輩たちのおかげ」。と先輩の存在に感謝し、
高飛び込み銀メダリストの玉井陸人選手は「お世話になった人への報告はメダルと僕の笑顔で」。と
直接感謝を伝えることを口にしていました。
これら中学生・高校生の傲ることのない謙虚な言葉に感動したことが昨日のことように思い出されます。
あなたはこの夏、誰に感謝しましたか。
補習で教えてくれる先生に。進路で悩み、アドバイスしてくれた友達に。
朝昼晩と食事を作ってくれる方に。家計のため仕事で夜遅く帰ってくる方に。
炎天下、舗道の草刈りをしてくれている方に。あなたを支えてくれる多くの方に。
あたりまえのように「ありがとう」という感謝の言葉を口にできる人であってほしいとお願いして、
2学期当初の挨拶に代えさせていただきます。
第1学期終業式 訓話「慣れることに慣れるな」
今月、新紙幣が登場しました。1万円札には渋沢栄一の肖像が載ることになりました。
彼は金融の父と呼ばれ、日本で初めて銀行を設立した実業家です。
彼が設立した企業は、先ほど言った日本で初めての銀行 第一国立銀行(現在のみずほ銀行)。
それ以外にも東京証券取引所、東京海上火災保険、東京ガス、東京電力、JR東日本、日本経済新聞社など
500社以上を設立したと言われています。
その渋沢栄一が言った言葉に「慣れることに慣れるな」という言葉があります。
これは精進し、一つ一つ積み重ねているようなことは良い結果につながるが、
ただ、だらだらとしているマンネリのような状態であれば悪い結果しか生まない。
「精進」していることか、「マンネリ化」していることか、注意して分ける必要があると言っています。
皆さんは1日1日が、「マンネリ化」していませんか。
授業中に知らないことを知ることは、刺激的で新鮮なことと感じている人は日々精進しているんだと思います。
皆さんは知らないことがたくさんあります。知らないことを知る喜びを授業などで感じてください。
6月4人の先生の授業を参観させてもらいました。
NS先生の化学の授業では、ダニエル電池とボルタ電池の実験をしていました。
正直、どっちがどっちだったか完全に忘れていましたが思い出させてくれました。
IY先生の世界史の授業では、漢委奴国王の金印の実物大のレプリカを見せてもらえたことで
金印の大きさや紐(ちゅう)というつまみの形状が蛇であることなど見て感じることがたくさんありました。
NA先生の国語の授業では安倍晴明に関する記述が「今昔物語集」だけでなく
「宇治拾遺物語」にもあるということを知らされました。
OT先生の「飲酒と健康」に関する授業では、ビール業者の取組について考えさせられ、
晩酌でビール缶をマジマジと観察するきっかけをくれるものとなりました。
私自身、知らないことだらけ、忘れてしまっていることだらけなんです。
皆さん、授業で学ぶことは毎時間違います。知らないことが散りばめられています。
また数学か…また英語か…ではないんです。授業を受ける気持ちがマンネリ化しないようにしてください。
渋沢栄一の「慣れることに慣れるな」を夏季休業を前にダラダラした夏にならないために
「発見」「学び」「知識」「気づき」があふれる40日にして欲しいと願っています。
6月の訓話 「進路実現に向けするべきこと」
第64回徳島県高等学校総合体育大会が終わりました。
期間中、教頭先生と手分けし、あちこちに観戦に行きました。
私は5月26日にサッカー、5月31日にバドミントン、バスケットボール、
6月1日にウエイトリフティング、6月2日に卓球、剣道と県内を西へ南へと走り回り、
皆さんの頑張っている姿を見に行くことができました。
スポーツに勉強に一生懸命頑張っている生徒を応援したくて
教員になったようなところもあるので、実に有意義な時間でした。
さて、3年生の多くは県総体・四国総体を一つの区切りとして、
次の自身の進路実現に向けて「志」や「夢」を掲げ邁進することでしょう。ここからが正念場です。
進学する人、就職する人に分かれますが、後悔しない人生のためにしっかり勉強をしていきましょう。
例えば、未来の自分のために応用力をつける学習をしたり、
取りこぼしたところが無いかを確認したり、基礎基本の復習をしたり、
大学や専門学校、企業の試験問題の傾向と対策を調べたり、何をすべきかを考え実行していってください。
1,2年生は自分の武器を作る事を考えてください。
そこで探究活動に真剣に取り組むことを勧めます。
近年、大学は高校でどのようなことを学んできたかに興味を持っています。
本校であれば、SDGsに関する探究活動について
どのようなことをし、考え、試行錯誤を繰り返したかをアピールしたり
プレゼンしたりできれば評価につながります。
その過程で大いに失敗しても構いません。失敗から学んだことを説明できるのであればそれも武器になります。
インターンシップでの経験やボランティア活動で学んだことは面接で語ることができます。
取得した資格。休みの日を利用して行われる
大学や専門家と連携した学びの場である課外活動を通して体験したこと。
部活動で収めた成績。学校を遅刻も欠席もしないという皆勤・精勤もプラスに働きます。
高校3年間でこのようなプラスを積み重ねることをしていきましょう。
5月25日、金泉寺を訪れるお遍路さん相手に本校生が「お接待」をしました。
どの学校もあまりしていないこのような取組に参加した、
クリエイティブ部、JRC部、音楽部、茶道部、生徒会そして有志のみなさんなども
ボランティアとはいえ素敵な活動をしたことに違いないので、
進学や就職での面接で是非このことをアピールしてください。
私が面接官ならこのような活動に参加した生徒に興味を持ちます。
家でゲームをしたり、おしゃれして買い物に行ったり、
ダラダラしていてもそこにはアピールできるモノもなければ、何の発見もありません。
学生の本分が勉強である以上、
アルバイトは進路面接では、あまり武器にはならないことも知っておいてください。
高校3年間で何をしたら自分の武器なるか、
人間としての徳になるかに気づいて行動できる人になってください。
前任校で「とくしまマラソン」「小松海岸の清掃活動」「蜂須賀家の墓石清掃」など
ボランティアを募ると100人以上の生徒が参加を希望します。
自分にもアピールできる武器が欲しいと考えている人がそれぐらいいるのです。
チャンスは転がっています。拾い集めるのはあなたです。時間の使い方を間違わないでください。
もう一度言います。「探究活動」「ボランティア活動」「部活動」「皆勤・精勤」「資格取得」
「課外活動」「プレゼンテーション能力」などが武器になります。
進学や就職で自分自身を売り込む材料になるのです。
当然「試験の成績が良い」ということは、確固とした武器です。
武装できる時間があるのであれば将来を見据え、多くの武器を身につけてくれることを期待しています。
5月の訓話 「応援されるような学校にしていきましょう」
こんにちは。令和6年度も1か月が過ぎました。
GWが終わり、もうすぐ中間考査を控えていますが、勉強してますか?
始業式で2,3年生には集団生活をする上で大切な「かきくけこ」
の話をしたのを覚えていますか?
「か」考えること。「き」気をつけること。気を配ること。
「く」くさらないこと。「け」健康であること。健康的で元気な挨拶ができること。
「こ」コンプライアンス。コンプライアンスとは法令を守ること。
ルールやきまり・校則を守ること。と言いました。
先月、何社か企業を訪問し、本年度の求人の情報収集と
本校生の就職をよろしくと就職課長の畠内先生とお願いして回りました。
そこで各社の人事担当者にどんな新入社員がほしいか?という質問を投げかけてきました。
答えはこうです。
(4つの企業の求める新入社員像について発表)
どの企業にも「かきくけこ」が入っているでしょう。
もうすぐ求人を持って、各企業の担当者が学校に来る時期となります。
大学の先生もたくさん来ます。「人は見た目が9割」というベストセラー本がありましたが、
みなさん制服を着崩していませんか?
ネクタイをしてますか?
スカートの下にジャージをはいていませんか?
シャツの裾が出ていませんか?
スカートを腰で巻き上げていませんか?
シャツのボタンを上まで閉めていますか?
試験の時だけ、服装頭髪検査の時だけなどというずるい考えは、
学校という教育していく空間では通用しません。
制服を着崩した板高生を見た人が、
板野高校を、他の板野高校生を、どういうイメージで捉えるかを考えてみてください。
マイナスのイメージしかないですよね。それが残念でなりません。
板野高校には元気に挨拶をする。掃除もよくする。おもしろく元気に話しかけてくる。
素敵な生徒たちがたくさんいます。
常日頃から全員がいつでも試験や面接が受けられる姿で、
健康的で元気な挨拶をしてくれれば、何かが変わると信じています。
入学式で1年生には「ヒンドゥー教の教え」について話をしました。
「心が変われば態度が変わる 態度が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる 習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる 運命が変われば人生が変わる」
心を変えるという些細なことが、いずれは人生まで変えてしまうと言っています。
心を変え、気持ちを変えて、できることからやっていきましょう。
大学が、企業が、是非板野高校の生徒を推薦して欲しいといってもらえるような、
周りから指示され、応援されるような学校にしていきましょう。
そのためには、私も頑張ります。
令和6年度入学式 式辞
春風が薄紅色の桜をまとい、
校庭の、木々の緑に 生命の息吹を感じる今日の佳き日に、
吉岡PTA会長様、玉井同窓会会長様をはじめ
保護者の皆様方のご臨席を賜り、
令和六年度 徳島県立板野高等学校入学式を挙行できますことは、
学校として、この上ない喜びであり、心から感謝申し上げます。
ただ今、入学を許可いたしました百三十五名の新入生の皆さん、
そして保護者の皆様、ご入学おめでとうございます。
皆さんの入学を教職員とともに、心から歓迎いたします。
本校は、明治三十九年に蚕業学校として開校し、
今年で創立百十八年を迎える伝統ある学校であります。
昭和五十七年には普通科単独校となり、
平成十六年には単位制の学校として新たなスタートを切りました。
これまでに、二万三千人を超える人材を輩出して参りました。
板野高校には、「誠実」「努力」「前進」という校訓があります。
諸先輩方が、様々な課題に対して「誠実」に向き合い、
目標を達成するために「努力」を重ね、
一歩一歩着実に「前進」してきた結果、
良き伝統を形成し、今日に至っております。
また、校訓のほかに、学校創立以来、引き継がれてきた建学の精神である
「耕不尽 耕せどもつきず」という校是があります。
これは、能力や才能、豊かな心は、いくら耕しても尽きることがなく、
無限の可能性を持っていることを意味しています。
さて、新入生の皆さんは、大きな可能性に目を輝かせ、
本日から、この伝統ある板野高校での生活をスタートします。
これからの本校での高校生活は、
皆さんにとって人生で最も大切な時期であり、
社会で通用する大人になるための人間力を高める場所となります。
ヒンドゥー教の教えに
心が変われば 態度が変わる。
態度が変われば 行動が変わる。
行動が変われば 習慣が変わる。
習慣が変われば 人格が変わる。
人格が変われば 運命が変わる。
運命が変われば 人生が変わる。
という言葉があります。
感情や気分が変われば、態度や行動が変わり、
いずれは人生までも変えてしまうと言っています。
今日から皆さんは板野高校の生徒です。
将来こうしたい、こうなりたいという夢を
叶えるため、心を変え、気持ちも新たに
今のやる気と情熱を持ち続け、
三年間歩み続けてください。
「板野高校に入学して良かった。」と感じ、
三年後には、「卒業して良かった。」と言える学校を、
生徒の皆さんと先生方と一緒に作っていきたいと思っています。
どうか、自分自身で、
一歩一歩確実に努力を続ける高校生活にしてください。
本校には熱心な先生方、素直で優しい先輩や友達がいます。
もし、何かに悩んだり苦しんだりした時は、
是非とも誰かに相談してください。
結びになりますが、今日まで支え、
応援し続けられた保護者の皆様方にも
喜ばしい日であろうと存じます。
高校時代は、多感で悩みも大きいからこそ、
仲間とともに支え合い、深く考え、
学んでいく 尊い時間になります。
大きな成果を願い、学校と保護者が同じ方向を向き、
地域の協力を得ながら生徒たちを支えていく必要があります。
本校の教職員は、ここにいる新入生が、三年後、
たくましく 巣立っていく姿を励みに、尽力いたします。
どうか、保護者の皆様方におかれましても
本校の教育活動や教育理念に
温かいご支援とご協力をいただきますよう
心よりお願いいたしまして、式辞といたします。
令和六年四月八日
徳島県立板野高等学校長 野田 耕市郎
令和6年度 第1学期 始業式 訓話 「心がけてほしい5つお願い」
おはようございます。校長の野田耕市郎といいます。漢字をよく間違われるので
詳しく言いますと、野原の野。田んぼの田。耕は耕運機の耕。耕すという字です。
市は市場の市。郎は昔から男の子に使われる太郎とか次郎とかの郎で「おおざとつ
くり」の郎です。続けると「野原を田んぼに耕して、そこで採れたお米なんかを市
場に持って行く男」と覚えてもらうと間違わないかな、と思います。
実は、板野高校は私の初任の学校であり、大好きな学校です。28年前、初任3
年目の冬に、もう一年残してほしいと当時の校長先生にお願いに行ったことが昨日
のように思い出されます。もしかすると皆さんのお父さんやお母さんの中に私を知
っている人がいるかも知れません。
さて、年度当初の挨拶ということで、みなさんに心がけてほしい5つのお願いが
あります。覚えやすいように頭文字を「かきくけこ」に合わせてきたので日々の生
活の中で是非意識して生活してください。
「か」は、考えること。
勉強もそうですが、考えることは非常に大事なことです。夕方のTV番組で「突
破ファイル」という番組の中で、窮地に追い込まれた主人公が自分自身に「考えろ、
考えろ、考えろ」と言い聞かせるシーンがよく出てきます。苦しいときこそ考える。
これをしていいのかを考えてから動く。効率よく物事を行うためにどうすればいい
かを考える。全て大事なことです。
「き」は、気をつけること。気を配ること。
気をつけるは、交通事故に遭わないよう、事故や犯罪に巻き込まれないよう気を
つけるです。気を配るは、周りに元気のない人はいないか。困っている人はいない
か。いるならどう声をかけるか。思いやりを持って行動してくださいということで
す。
「く」は、くさらないこと。
人生うまくいかないことはあります。失敗もあります。そこでくさっていては誰
も見向きもしてくれません。「笑う門には福きたる」という言葉がいうように気分
を換え、ポジティブに考え、前向きに次の行動をしましょう。
「け」は、健康であること。健康的で元気な挨拶をすること。
先ほども挨拶をしましたが、これは皆さん全員がすることに意義があります。お
越しになったお客さんに、すれ違う生徒全員が挨拶をすれば、驚くでしょうし、面
白いと思いませんか。こうなれば、学校自体が変わります。
「こ」は、コンプライアンス。
法令を守るという意味ですが、校則などのきまりやルール・マナーを守ろうとい
うことです。時間を守ること・約束を守ることや人を傷つけないことも広い意味で
コンプライアンスかもしれません。
この「かきくけこ」は、社会に出ても使えるので心のどこかに留め置いててくだ
さい。
残された高校生活。夢ややりたいことを「志」というなら、その「志」を掲げ、
「誠実・努力・前進」の校訓のもと、「誠実」に取り組み、「努力」を続け、コツ
コツと「前進」していってください。そうやって歩んでいる皆さんを先生方は応援
してくれます。頑張っていきましょう。
令和5年度 3学期終業式 学校長訓話
伝えたかったこと
学年末として4月からの1年を振り返る節目となりました。1学期、2学期、そしてこの学年末までを終えましたが、学期ごとに、頑張ったこと、成長したこと、課題となったことなどを把握し、課題については改善してきましたか。
これまで、始業式や終業式、全校集会でいろいろな話をしてきましたが、この機会に改めて振り返りながら、皆さんに伝えたかったことについてまとめます。
1学期の始業式…「志(こころざし)」:成し遂げたいことを「志」として持ち、なりたい自分を毎日強く思い、そして必要な行動を続ける。
5月の全校集会…「聞く姿勢」:話している人に体を向けてきちんとした姿勢で聞くことは、礼儀の根本であり、そこに人の本質が現れる。
6月の全校集会…「失敗の価値」:失敗を単なる失敗と考えずに、失敗の価値に気づき、失敗を無駄にしないことこそが新たな一歩になる。
1学期の終業式…「読書の効果」:ボキャブラリー(語彙)を豊かにする読書は、コミュニケーション能力の向上とより深い学びにつながる。
2学期の始業式…「時を守り、場を清め、礼を正す」:職場や学校において人間関係や信頼関係を築くには、重要となる3つの行動がある。
11月の全校集会…「活躍している人」:活躍するには挑戦が必要であり、挑戦にはほんの少しの勇気とたゆまぬ努力への決意が必要である。
2学期の終業式…「目標の実現」:なりたい自分とできる自分の重なりを広げる努力の積み重ねが、実現の可能性を高めることにつながる。
3学期の始業式…「大人の条件」:大人になることは、当たり前のことが当たり前にできるようになり、内面的にも大人になることである。
皆さんは、高校または大学などを卒業した後、職場や地域社会で何らかの役割を担うことになります。そこで問われるのが、「社会で必要な資質や能力を身につけているか」「その資質や能力を伸ばすための努力をしてきたか」になります。
学校は、社会に出るための準備の場として、皆さんに夢や目標に向けて努力を続けることを求めています。また、板野高校の一員として協力して取り組むことも求めています。しかし、それが実践につながるかどうかは皆さんの気持ち次第です。
新年度からのより一層の活躍を期待しています。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 3学期始業式 学校長訓話
大人の条件
1月というのは、新しい年を迎え1年間のスタートとなる時期になる一方で、学校生活の中では3学期というまとめの時期でもあります。新年の初めであると同時に年度のまとめにもなるので、ある意味1年間の中で最も大切な時期になると思います。皆さんには、一日一日を大切に過ごしてもらいたいと思います。
さて、昨日は成人の日でした。成人の日というのは、「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます」趣旨の国民の休日です。そして、皆さんも知っているように、民法が改正されて令和4年4月に成年年齢が満18歳に引き下げられました。3年生の多くの人が18歳になっていると思います。
そこで、「成人」と「大人」を国語辞典で調べると、「成人」とは「心身が発達して一人前になった人。成年に達した人。子どもが成長して大人になること。」となっており、「大人」とは「成長して一人前になった人。成人の年齢に達した人。思慮分別があり、社会的な責任を負える人。」となっています。
「成人」と「大人」には「一人前」や「成年年齢」という共通する意味もありますが、「大人」には「思慮分別」や「社会的な責任」という意味もあります。従って、「大人」とは「成年に達する」という外面的なことと「分別や責任」という内面的なことの両方が認められてなれるものと思います。
オランダの教育学者、マルティヌス・ヤン・ランゲフェルドは「大人」を次のように規定しています。
①自分自身の行為や失敗に対して責任ある態度がとれる。
②社会生活において仲間として責任を分かち合う態度がとれる。
③子どもや病人など弱者のための代理人として責任を負う態度がとれる。
簡単に言えば、自己責任の態度、社会の一員としての自覚、そして思いやりの態度が必要ということだと思います。だとすれば、内面的なことというのは人として当たり前のことばかりです。裏返せば、「大人」になるということは、当たり前のことが当たり前にできるようになることかもしれません。
18歳の誕生日を迎えれば大人として扱われる一方で、18歳の誕生日を迎えれば大人になれるという単純なものではないと思います。普段から誰かのために何ができるかを考えることも必要だと思います。皆さんが成年に達した時、大人としての態度をとることができることを期待しています。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 2学期終業式 学校長訓話
目標の実現
1年間の学校生活において、最も長い2学期も今日で終えようとしています。今年も残りわずかです。これまで自分が取り組んできたことを振り返ってください。教科等の学習、学校行事、部活動など、目標としていたことが実現できましたか。
目標を実現できる可能性について、改めて考えてみます。自分の目標というのは「なりたい自分」であり、それに対して、現在の自分というのは「できる自分」であると言えます。そして、「なりたい自分」と「できる自分」の重なる部分(共通部分)が実現できる可能性になると思います。
まず、大切なことは「なりたい自分」をしっかりと定めることです。理想とする自分をはっきりと描くことです。目標が定まっていないと、目標の実現に向けて努力すべきことが定まらないので目標に近づくことはできません。
次に、大切なことは「できる自分」を見つめることです。現在の自分にどれだけの力があるのかを知ることです。今の自分にできることが分かっていないと、目標の実現にどれだけの努力が必要となるかも分かりません。
例えば、進路について考えてみましょう。「なりたい自分」は進路の目標です。その目標を定めるためには、世の中にどんな仕事があり、それを通してどのような生き方があるのかを知る必要があります。
また、将来の自分像「ライフデザイン」をイメージし、そのためにどの大学に進学すれば良いか、どの企業に就職すれば良いかなど、情報収集をしなくてはいけません。本校は、大学の先生や企業の方との出会いの場を教育活動に多く取り入れています。その出会いを通して「なりたい自分」の幅を広げていきましょう。
一方で、目標を実現するためには「なりたい自分」と「できる自分」の重なりを大きくする必要があります。定めた目標に向かって自己を高める努力をしなければ、目標が近づいてくることは絶対にありません。
日頃の学習を1つ1つ丁寧に重ねていくことで学力を向上させるとともに、部活動や総合的な探究の時間等における他者と協働して行う活動の中で、社会力や人間力を高めていきましょう。そして、様々な活動を通して「できる自分」の枠を広げることで「なりたい自分」との重なりを広げていきましょう。
もうすぐ新しい年を迎えます。2つの自分の重なりを広げる努力の積み重ねが、進路実現の可能性を高めることにつながります。来年を「目標に向かって歩みを止めない」1年にするために、明日からの冬休みを有意義に過ごしてください。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 全校集会(11月)学校長訓話
活躍している人
本年度の後半も1ヶ月以上が過ぎましたが、本年度の折り返しとして良いスタートを切ることができていますか。充実した日々を送ることができている人もいれば、ただ漠然と日々を過ごしている人もいると思います。高校時代は人生の中でも大切な時期になります。是非、今日からの時間を大切に過ごしてください。
さて、スポーツの分野では、サッカー、野球、バスケットボール、ラグビーなど、様々な競技でワールドカップや世界大会が行われています。出場選手が躍動する場面では、勇気や元気をもらいました。来年には夏季オリンピックも開催されます。また、スポーツだけでなく、文化の分野においても多くの人が活躍しています。
「活躍している人」というのは、天賦の才能もあるかもしれませんが、例外なく才能以上に「努力している人」だと思います。それでは、努力している人とはどんな人だと思いますか。それは、「何かに挑戦している人」だと思います。挑戦するためには、目標を立てることが必要になります。しかし、「自分の目標が何か」「自分の将来の進路は何か」を決めかねている人もいると思います。
そういった人は、まず、自分の興味や関心は何かを改めて考えてみてください。興味や関心があるものが挑戦できるものになります。そして、自分の長所は何かを考え、自分の長所を伸ばすことに挑戦してみてください。
しかし、自分の関心や興味、自分の長所が分からないという人もいます。そういった人は、自分の「現在、過去、未来」を考える習慣をつけてください。または、小学校や中学校の頃の自分を振り返ってみてください。そうすれば、自分の関心や興味、自分の長所が見えてくるのではないかと思います。
人間の能力は、決められた価値基準では計ることができないものであって、一人一人に潜在的な能力が潜んでいます。特に、高校生は、誰でも潜在的な能力を秘めています。高校時代には、この潜在的な能力を発見し、開花させる必要があります。
そのためには、学習や部活動の未知の領域に踏み込んで挑戦してみてください。しかし、それには新しいことに挑戦する「ほんの少しの勇気」と「たゆまぬ努力への決意」が必要になります。高校時代は、決して長い期間ではありません。ただ漠然と過ごす毎日では、高校生活が一瞬で終わることになります。
最初にも話しましたが、本年度の折り返しから1ヶ月以上が過ぎました。改めてこれまでの自分を振り返ってください。皆さんが、目標を持って何事にも挑戦し、充実した高校時代となることを期待しています。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 2学期始業式 学校長訓話
時を守り、場を清め、礼を正す
2学期が始まりました。1学期の成果や反省を基に、これからどのような学校生活を送ろうとしていますか。以前にも話をしましたが、学校は社会に出るための準備の場になります。皆さんも社会に出てからは、社会の一員として働くようになります。それでは、社会に出て働く上で大切なことは何だと思いますか。
それぞれの職業で必要となる知識や技術はもちろんですが、企業も学校と同じように組織で動いています。社員が自分勝手に行動しているのではなく、規律ある行動をとっています。そして、お互いにコミュニケーションをとりながら分担して取り組んでいます。つまり、人間関係(信頼関係)が大切ということです。
今日は、新学期の始まりにあたって、「時を守り、場を清め、礼を正す」という言葉について話をします。この言葉は、教育学者の森信三先生が職場再建の3原則として提唱したものです。学校も職場と同じように多くの人が生活をしています。皆さんには、将来に向けて重要となる3つの行動を身につけて欲しいと思います。
「時を守り」とは、時間や期限を守るということです。期間を守ることは、相手の時間を大切にすることで、結果として相手を尊重することにつながり、そして、それにより自分の信用を積み重ねることにもつながります。予定の開始5分前に姿勢を正し、心を静め、開始を待つことができていますか。普段の行動を考えてみてください。朝の登校、チャイム着席、提出物の期限を守る・・・・等、時間ギリギリに行動することのないようにしてください。
「場を清め」とは、掃除や整理・整頓をすることです。その意味は「5K」で表されます。気づく人になれる、心を磨く、謙虚になれる、感動の心を育む、感謝の心が芽生える、ということです。足元のゴミに気づいて拾うことができていますか。拾えばきれいになるだけでなく、感動や感謝が生まれます。学校での自分の身の回りを見てください。掃除、ロッカーや机の中の整理・整頓を心掛けてください。
「礼を正す」とは、挨拶をすること、返事をすることです。挨拶をすることにより、相手に心を開くことができます。人より先に、誰に会っても、挨拶をすることです。そして,呼ばれたら「ハイ」と返事をすることです。人とのコミュニケーションは、挨拶や返事から始まります。気持ちの良い挨拶や返事をすれば人間関係がよくなります。挨拶や返事は、人間関係をつくる上で基本になると思います。
例えば、「時間ギリギリで余裕がない」「机の上が片づいていない」「呼ばれても返事をしない」などの行動は、相手に不信感を与えてしまうでしょう。自分の将来のために、すべての人が気持ちよく学校生活を送るために、今日から「時を守り、場を清め、礼を正す」を実践していきましょう。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 1学期終業式 学校長訓話
読書の効果
本校では、平成11年に県内の高校で初めて「朝の10分間読書」を取り入れて、これまで継続し、現在に至っています。また、「図書館だより」の発行やお薦め本を紹介する「ミニ・ビブリオバトル」などを実施しています。本校の特色の一つとして、読書活動の推進に取り組んでいます。
それでは、そもそも本を読むことの意義とは何でしょうか。私たちは無意識のうちに言葉を駆使して物事を考えています。ボキャブラリー(語彙)が豊かになれば、それだけ深い思考が可能になります。今日は、明日からの夏休みを有意義な期間としてもらうために読書の効果についての話をします。
英作文も百の単語と千の単語とでは表現できる範囲や深さが自ずと変わってきます。十の食材と百の食材とでは、作ることができる料理のレパートリーが違うことと同じ原理です。ボキャブラリーが増えるごとに相手の言葉を正しく理解し、自分の考えを正確に伝えることができるようになります。
自分ではなんとなく分かっていても、うまく言葉で言い表せなかったことが、本を読んでいると「自分が言いたかったことはこれだ!」と思う瞬間があります。この時が、優れた著者の言葉によって、自分の考えがはっきりと言語化された瞬間だと思います。読書によって、知識や教養が身につくとともに、想像力も養われます。
小さい子どもが癇癪を起こして泣き叫ぶのは、自分の伝えたいことがうまく言葉で表せないもどかしさからだと言われています。一方で、大人になると癇癪を起こすことが少なくなるのは、自分が伝えたいことを言葉できちんと表現できるようになるからだと言われています。
コミュニケーションには、ボキャブラリーというツール(道具)が必要です。読書はボキャブラリーを豊かにします。ボキャブラリーが豊かになればコミュニケーション能力は向上します。つまり、ボキャブラリーを豊かにする読書は、コミュニケーション能力の向上に効果があるということになります。
勉強をすることの基本は何でしょうか。それは、とにかく自分の中に受け入れることです。理解できなくても耳を傾ける習慣が勉強には求められます。自分に理解できないことを価値がないと切り捨てるのではなく、理解しようと努力すること自体が学びを深めることにつながっていきます。読書も同じです。まずは、書物を手に取ってみましょう。
集中して読書をする習慣は、皆さんの学びを一段と深めてくれると思います。また、生活する中で人との出会いがあるように、読書では言葉との出会いがあります。その言葉が生涯自分を支え、照らしてくれることもあります。それは、皆さんにとっての名言になると思います。
明日から夏休みが始まります。普段よりも書物に親しむ時間がとれるかもしれません。その豊かな時間の中で、皆さん一人一人にとっての名言に出会えることを願っています。そして、有意義な夏休みとなることを期待しています。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 全校集会(6月)学校長訓話
失敗の価値
自分が目標としていることにチャレンジした時、成功することもあれば失敗することもあります。どちらかというと、成功することよりも失敗することが多いかもしれません。そこで大切になるのが、失敗した時にどう考えるかです。
「七転び八起き」ということわざがあります。このことわざは、何度失敗してもあきらめずに立ち上がって努力すること、失敗や敗北にくじけず何度もチャレンジを繰り返すことを示しています。
私たちは、すべてのことが分かっているわけではありません。日々、新しい発見や出来事もあります。そして、年齢を重ねるごとに、活動範囲が広がるごとに知らないことや経験したことがないことに出会うことが多くなります。初めてのことなので、失敗することが多いと思います。失敗することで悲観もすると思います。
そういう時、このことわざを思い浮かべると思います。「今回は失敗してしまったが、次回頑張れば成功できるかもしれない」と考えることができます。再度チャレンジしようと頑張る意欲につながります。「七転び八起き」ということわざには、物事を前向きに考えるようにさせる効果があると思います。
しかし、「なぜ失敗したのか」「どうしたら成功するのか」を深く考えることもなく、「7回失敗しても8回目には成功する」などと何の根拠もなく考えるのであれば、これは少し愚かなことです。失敗から学ぶことがなければ、再度チャレンジしても成功にはつながらないと思います。
つまり、1回失敗して気づかなければ、7回失敗しても何も変わりません。同じ失敗を繰り返すだけです。失敗を成功につなげることができる人というのは、どのような人でしょう。それは、「成功には失敗してしまった原因と失敗しないための方策を考えることが必要である」と気づいた人だと思います。
気がつくためには、「転んでもただでは起きぬ」という気持ちが大切になります。このことわざは、どんな事態になっても自分の利益になるものを見つけ出すという、欲深いたとえとして使われていますが、昔の偉大な人物の中でも、失敗からの学びを成功に生かした人は多くいます。失敗なくして成功はありません。
そういった人たちは、常に「なぜ失敗したのか」「どうしたら成功するのか」を深く考えていたと思います。転んでもただでは起きなかったということです。発明王と言われるトーマス・エジソンの言葉に「私は失敗したことがない。ただ、1万通りのうまく行かない方法を見つけただけだ。」というのがあります。
失敗を「単なる失敗」と考えずに、「失敗の価値」に気づくことこそが新たな一歩になります。失敗を無駄にしない気持ちが可能性を広げます。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 全校集会(5月)
聞く姿勢
生徒の皆さんは、毎日授業を受けています。そして、授業の中では、先生方が教科に関することや進路に関することなどを話してくれています。また、学年集会や学校行事なども多くあります。そして、その時にも、先生方は生徒の皆さんに伝えたいことや大切なことを話してくれています。
これまで、先生方の話を聞く皆さんの姿勢はどうだったでしょうか。人の話を聞く時の基本は、話をしている人の方に体を向けて相手の顔を見ることから始まります。哲学者のマルティン・ブーバーは、名著と言われる「我と汝」の中で、人間関係の基本は対面の関係であると言っています。
一対一で向き合って話をする関係が人間関係の基本だと聞いても、そんなことは当たり前だと思う人も多いかもしれません。しかし、実際には大勢の中で人の話を聞く時に、本来は一対一の関係であることを忘れ、一対「多」となってしまい「多」の中では目立たないだろうと、話をしている人と向き合っていないこともあります。
私は教師として、生徒に対して人の話を聞く時の態度や姿勢を教えたり注意をしたりしてきました。また、聞く態度や姿勢を人に教える立場にある自分自身も、常々から話をしている人と向き合うことを心掛けてきました。今も生徒の皆さんが、姿勢を正して私の方にしっかり体を向けて聞いている姿は美しいと思います。
「躾」という字は、身が美しいと書きます。私たちは、挨拶の仕方やお辞儀の仕方などを幼い頃から教えてもらってきました。それは、きちんとその所作を身につけることで、美しい姿になることを昔の人は長年の経験から分かっていたのでしょう。だからこそ「しつけ」という言葉が「躾」という字になったのだと思います。
教育学者の森信三先生は、挨拶や返事をすること、脱いだ靴をそろえること、自分が座った椅子を元に戻すこと、目の前の紙くずを拾うことを生涯に渡って実践されました。そのようなことに気を配ることができるようになれば、すべてのことに気を配ることができるようになれると思います。
人の話を聞く姿勢もそうだと思います。話をしている人に体を向けて聞くことは礼儀の根本のようにも思います。人の話を聞く時に、話をしている人に体を向けてきちんとした姿勢で聞くことは、小さなことに見えますが、その小さなことに人の本質は現れます。そして、その小さなことがすべてのことに通じるのです。
これからも、授業や学校行事では先生方から話を聞くことが多くあります。また、生徒の皆さんが発表する機会もあります。今日から「聞く姿勢」を意識して、話をしている人に向き合うようにしてください。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和5年度 1学期始業式
志(こころざし)
新年度が始まりました。今日は、新年度スタートの特別な日です。昨年度の成果や反省を基に、皆さんはこれからどのような学校生活を送ろうと考えていますか。3年生は進路の決定に向けて全力で取り組んでもらいたいと思います。また、2年生は学校の中核となる学年としての活躍を期待しています。
新年度を迎えて、皆さんには「志」を持ってほしいと思います。では、「志」とは何か。辞書によると「ある方向を目指す気持ち、心に思い決めた目的や目標」とあります。従って、「目的や目標を決めよう」ということにもなります。学習、進路、部活動など、学校生活を送っている今だからこそ、「志」を持ってください。
皆さんは、「Boys, be ambitious! (少年よ、大志を抱け!)」という言葉を聞いたことがありますか。北海道の札幌農学校(現在の北海道大学)に初代教頭として招かれたウィリアム・スミス・クラーク博士の言葉です。多くの学生たちに勇気と希望を与えました。現在もこの言葉は受け継がれています。
それでは、「志」を持つためには何が必要でしょうか。それにはまず、これまでで良かったことや反省点を自覚する必要があります。さらに、「過去の自分を見つめ直し、今やるべきことを決め、未来の自分につなげる」というサイクルを作ることが大切になります。
20世紀を代表する物理学者であるアルバート・アインシュタインの言葉に「Learn from yesterday, live for today, hope for tomorrow.(昨日から学び、今日に生き、明日に希望を持て)」という言葉があります。過去に失敗があったとしても、それを教訓に今後の生き方を決めて、胸を張り、希望を持って未来に向かいましょう。
しかし、待っているだけでは「志」を実現することはできません。「志」を実現するためには、努力を続けることが必要です。第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンの演説の中の言葉に「Where there is a will, there is a way.(意志あるところに道は開ける)」という言葉があります。
「道が開けた人とは、何かを成し遂げた人」であり、例外なく「強い意志をもち、努力を継続した人」だと思います。「継続は力なり」「努力なくして成功なし」という言葉にも通じることと思います。
皆さんには、成し遂げたいことを「志」として持ち、なりたい自分を毎日強く思い、そして必要な行動を続ける1年間にしてもらいたいと思います。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和4年度 3学期終業式
伝えたかったこと
明日からの春休みは,年度末として4月からの1年間を振り返るとともに,新年度に向けての決意を固める節目としても大切な期間になります。皆さんにとって貴重な春休みですので,有意義に過ごしてください。
これまで,始業式や終業式,全校集会でいろいろと話をしてきましたが,本年度最後となるこの機会に,これまでの話を改めて振り返りながら,皆さんに伝えたかったことについてまとめたいと思います。
1学期の始業式…「板野高校の校是と校訓」: 自分を高めるには,何事にも誠実に向き合い,努力を続け,前進しようとする姿勢が大切である。
5月の全校集会…「ワンイヤー,ワンインチ」: 組織ではルールを守る必要があり,板野高校の生徒としての自覚や責任ある行動が求められる。
6月の全校集会…「学ぶことの意義と続けることの大切さ」: 学びは視野を広げることにつながり,継続は能力を伸ばすことにつながっていく。
1学期の終業式…「心をマネジメントすること」: 現状と目標のギャップを埋める行動を選択することが,未来の自分を変えることにつながる。
2学期の始業式…「社会に出て成功する7つの条件」: 7つの条件は社会で必要となる心掛けであり,学校は社会に出るための準備の場である。
11月の全校集会…「社会人基礎力」: 職場や地域社会で多様な人々と関わり合いながら,活躍し続けるために必要となる能力が求められている。
2学期の終業式…「取り組む姿勢や心掛け」: 努力の本当の意味を知れば,物事に取り組む姿勢が変わり,その後の行動や状況も大きく変わる。
3学期の始業式…「努力しても損はしない」: 努力をすれば,結果が出なくても成功につながる経験が残るので,無駄になる努力は存在しない。
2月の全校集会…「自律と自立」: 経済的・社会的に独り立ち(自立)をするためには,自分自身をコントロール(自律)できることが必要である。
皆さんは,高校または大学などを卒業した後,職場や地域社会で何らかの役割を担うことになります。そこで問われるのが,「社会で必要な資質や能力を身につけているか」「その資質や能力を伸ばすための努力をしてきたか」になります。
学校は,社会に出るための準備の場として,皆さんに夢や目標に向けて努力を続けることを求めています。また,板野高校の一員として協力して取り組むことも求めています。しかし,それが実践につながるかどうかは皆さんの気持ち次第です。
新年度からのより一層の活躍を期待しています。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和4年度 全校集会(2月)
自律と自立
先週は,生徒の皆さんにとって高校3年間の中でも思い出に残る学校行事がありました。1年生はインターンシップ,2年生は修学旅行を実施しました。インターンシップや修学旅行で多くのことを体験して学んだと思いますが,学んだことをこれからの学校生活に生かすようにしてください。
また,本年度も残りわずかになりましたが,本年度を振り返ってみてどうですか。充実した日々を送ることができた人もいれば,ただ漠然と日々を過ごしてきたという人もいると思います。高校時代は人生の中でも大切な時期ですので,今日から新年度になるまでの時間を大切に過ごしてください。
さて,学校は社会に出るための準備の場になります。そのため,学校は教科の内容だけでなく,「時間や期限を守る」「清掃や整理・整頓をする」「挨拶や返事をする」などの基本的な生活習慣についても学ぶ場になります。なぜなら,基本的な生活習慣は,良好な人間関係をつくる上でも大切なことだからです。
そこで,今後,学校生活を送るにあたって,皆さんに意識してもらいたいことがあります。それは,「じりつ」という言葉です。「「じりつ」という言葉には,「自分を律する」と書く「自律」と「自分で立つ」と書く「自立」とがあります。読み方は同じですが,意味は異なります。
「自分を律する」と書く「自律」は,他からの影響や制約を受けないで,自分で自分の行動を規制することを言います。「自律した生活を送る」とか「自律の精神を養う」というように使います。
また,「自分で立つ」と書く「自立」は,他からの援助や管理を受けないで,自分の力だけで物事を行うことを言います。「経済的に自立する」とか「親元から自立する」というように使います。
簡単にまとめると,「自分を律する」と書く「自律」というのは,「自分自身をコントロールする」ことを言い,「自分で立つ」と書く「自立」というのは,「経済的・社会的に独り立ちする」ことを言います。
どちらの「じりつ」も社会人として必要なことだと思います。そして,自分自身をコントロールできないと,経済的・社会的に独り立ちするのも難しいと思います。学校というのは,この2つの「じりつ」を身につける場なのです。
学校が社会に出るための準備の場であることを忘れずに,基本的な生活習慣の大切さを常に意識してください。そして,「自律」した生活を送ることで,「自立」できるようにしてください。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和4年度 3学期始業式
努力しても損はしない
今日から3学期が始まりました。2学期の終業式で「3学期は1年間の総決算,3年生にとっては高校生活の総決算」という話をしましたが,3学期は総決算であるとともに,新年度に向けての準備期間にもなります。年度の節目となる時期ですので,一日一日を大切に過ごしてください。
さて,皆さんは,これまで入学試験や定期考査など,様々な試験を受けてきたと思います。また,部活動においても大会やコンクールなど,様々な試合に出てきたと思います。これまでも試験や試合などで結果を出すために努力をしてきたと思いますが,改めて努力することの大切さについて考えてみましょう。
〇努力して結果が出ると,自信になる。
努力して結果が出ると,それまでの取組が成功体験となり,自分の能力や行動を信じることにつながります。努力するモチベーションにもなります。
〇努力せず結果が出ると,傲り(おごり)になる。
努力しなかったのに偶然にも結果が出ると,自分は優れていると勘違いして油断することにつながります。課題を軽く見るので努力しなくなります。
〇努力せず結果も出ないと,後悔が残る。
努力していないので結果が出ないことは,よくあることです。努力しなければ結果は出ません。努力しておけばよかったと後で悔やむことになります。
〇努力して結果が出ないとしても,経験が残る。
努力した結果が出なかったとしても,次のチャレンジにつながる経験が残ります。失敗した経験が,成功に到達するための重要なヒントになります。
努力すれば結果が出ることが多くなり,出た結果が次の努力につながります。努力と成功がつながっていく好循環になります。努力しないで運よく結果が出ても,傲り(おごり)になり,努力しなくなるのでやがて結果も出なくなります。怠惰と失敗がつながっていく悪循環になります。
結果を出すためには,努力が必要です。しかし,仮に結果が出なくても,努力すれば一生懸命に取り組んだ経験が残ります。そして,経験から知恵や新たな発想が生まれて,次のチャレンジで成功する可能性が高まります。
皆さんは,これからも試験や試合などを数多く経験することになります。また,社会に出て働き始めても,自分の力が試される機会に多く出会うと思います。その時,立ち向かって努力をするか,避けて努力をしないかの選択をすることになりますが,皆さんはどちらを選択しますか。
努力しても結果が自分の思いどおりにならないこともあります。しかし,経験は残るので,「努力しても損はしない」と思います。努力する3学期としてください。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄
令和4年度 2学期終業式
取り組む姿勢や心掛け
1年間の学校生活において,最も長い2学期も今日で終えようとしています。今年も残りわずかです。これまで自分が取り組んできたことを振り返ってください。教科等の学習,学校行事,部活動など,精一杯取り組んできましたか。
学校生活に限らず,日々の生活の中でも,物事に取り組む姿勢や心掛けによって,その後の状況が大きく変わってしまうことがあります。このことに関して,「一生懸命だと知恵が出る。中途半端だと愚痴が出る。いい加減だと言い訳が出る。」という言葉があります。
一生懸命な取組を心掛けると,物事を多面的に見たり,先を見通して行動したりするようになります。その結果,視野が広がり,知恵や新たな発想が生まれて,成功する可能性が高まります。また,成功することで,主体性や自己肯定感の向上にもつながります。
一方で,中途半端な取組では上手くいかないことが多くなります。こういう時は得てして,愚痴や不満が出るようになります。その結果,物事がなかなか進まなくなります。また,主体性が失われ,他人の行動や考えに依存したり,誰かの指示を待つようになります。
さらに,いい加減な取組となると,失敗につながるのは当然ですが,そのいい加減さが故に,その失敗にさえも向き合わなくなってしまいます。つまり,言い訳をすることで,失敗の原因を他人に転嫁したり,問題そのものから逃避したりするようになります。
また,「努力する人は夢を語り,怠ける人は不満を語る。」という言葉もあります。これからの学習や部活動にどう向き合っていくか,そして,夢を語るようになるか不満を語るようになるかは,皆さんの決断と努力次第です。自分自身の将来を見据えて「これからどう生きるか」を考えてください。
努力することの本当の意味は,努力することを通して自分をしっかりと見つめ,自分の持っている能力をたくさん見つけ,見つけた能力を最大限発揮させられるかにあると思います。
3学期は1年間の総決算になります。そのためにも,この冬休みでこれまでの自分を振り返り,さらに伸ばすことや改善することを見つけて,次の飛躍につなげてください。特に,3年生にとっては3学期は高校生活の総決算にもなります。ぜひ気持ちも新たに新年を迎えてください。
徳島県立板野高等学校長 佐山 哲雄